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アステックペイント 超低汚染リファイン艶消MS1000-IRの特徴や耐用年数
超低汚染リファインMS1000-IRとは
代表の島田です。
外壁用塗料徹底解説シリーズ第6弾、今回はアステックペイントの超低汚染リファイン艶消MS1000-IRを徹底解説します。
超低汚染リファイン艶消MS1000-IRはアステックの人気塗料、超低汚染リファインSi1000-IRのただの艶消し版かと思われがちですが、実は中身も異なる部分もあります。
島田塗装工業所でも超低汚染リファイン艶消MS1000-IRはお客様から多く選ばれ、ご好評いただいている塗料の一つです。超低汚染リファイン艶消MS1000-IRには一体どんな魅力がある塗料なのか、どういう人におすすめの塗料なのか、一級塗装技能士が徹底的に解説します。

基本情報
・コンクリート、モルタル素地(新規、改修) ・各種複層仕上塗材(リシン、スタッコー、吹付タイル等) ・ALCパネル ・窯業系サイディングボード(難付着性サイディングも適用下塗り材を塗布することで可能) ・金属サイディング ・各種旧塗膜 |
無機シリコン | ・16kg/3.2kg(主材、硬化剤の合計量) ・水性 ・艶消し(艶あり、3分艶等の調整はできません) ・ローラー塗り、刷毛塗り、スプレー塗り |
17年〜20年(メーカー公表期待耐用年数) |
超低汚染リファイン艶消MS1000-IRの特徴
特徴① 低汚染性
以前にご紹介した超低汚染リファインSi1000-IRでも解説しましたが、同シリーズの最大の特徴は低汚染性にあります。低汚染性とは汚れのつきにくさのことを指し、長期間塗りたての美しさを保てます。
そもそも艶消し塗料は艶有り塗料と比べて一般的に汚れがつきやすい塗料となります。その理由は塗料膜表面に小さな凹凸を作ることで光を乱反射させ、艶がないように見させていいます。艶消し塗料はこの小さな凹凸に汚れが噛み付くような形となり、汚れがつきやすいのです。

超低汚染リファイン艶消MS1000-IRは使用している艶消し剤がこの超低汚染リファイン艶消MS1000-IRの為に専用設計された艶消し剤で、艶消し剤の成分が真球状で滑らかな為に汚れが入り込みにくい形状となっています。
上の図で示した艶消し塗料の凹凸が超低汚染リファイン艶消MS1000-IRでは滑らかな形状をしているのです。

また超低汚染リファインシリーズ共通の低汚染性発揮のメカニズムとして、塗膜の緻密さがあります。
一般的な塗料は塗膜中の樹脂成分同士の間に隙間が空いているような状態となっています。この目には見えないほどの小さな隙間に汚れが入り込み汚染が発生します。雨垂れ汚れなどはまさにこの汚れで、少しこすったりした程度では落とせない汚れです。
超低汚染リファインシリーズはシリコン含有量を増やすことにより無機成分となるシロキサン結合量を増やし、無機成分が樹脂の隙間を埋めて汚れが塗膜内に侵入することを防ぎます。

特徴② 高耐候性
超低汚染リファイン艶消MS1000-IRの期待耐用年数はメーカー公表値で17年〜20年となっています。この数値は同シリーズの超低汚染リファイン1000Si-IRの15年〜18年よりも2年程耐久性の高い数値となっています。
超低汚染リファイン艶消MS1000-IRは文字通り艶消し塗料ですので促進耐候性試験を行うことができません。(促進耐候性試験は光沢保持率を計測する試験であり、元より艶のない塗料は光沢保持率を計測できないため)しかし、促進耐候性試験で17年〜20年相当の紫外線を照射した後にも艶消し剤の抜け落ちが確認できないことなどで、この期待耐用年数の裏付けとしています。
一般的に艶消し剤を含む艶消し塗料は艶消し剤を添加物として添加している関係で、塗料の耐候性に非常に重要な樹脂成分が薄まり、艶有り塗料よりも艶消し塗料の方が耐候性が低いことが一般的です。
しかし超低汚染リファイン艶消MS1000-IRは先述した通り、汚れのつきやすい艶消し塗料においても低汚染性を維持するために艶有り塗料である超低汚染リファイン1000Si-IRよりもシリコン含有量を増やしていますので、その結果、塗料の耐候性も向上し、17年〜20年という期待耐用年数を実現しているのです。

特徴③ 完全な艶消し
艶のない外壁用塗料というと水谷ペイントのナノコンポジットシリーズが有名ですが、ナノコンポジットシリーズは業界で1分艶とも言われる若干の底艶のような艶があります。ところがこの超低汚染リファイン艶消MS1000-IRは完全な艶消しとなっています。
右の写真は超低汚染リファイン艶消MS1000-IRとナノコンポジットWの比較塗り板となります。写真ですので非常にわかりづらいのですが、右側のナノコンポジットWの方が若干の艶があり左の超低汚染リファインの方が艶が少ないことがわかるでしょうか。完全なマット仕上げをご希望の方には非常に良い選択肢になるのではないかと思います。
※写真は艶感の差がわかりやすいように明るさの調整と撮影角度の調整を行なっています。

特徴④ 遮熱性
超低汚染リファイン1000Si-IRの記事でも同様のことを書いていますが、一般的な遮熱塗料は色褪せのしやすい有機顔料を多く使用しているため、色褪せがしやすいというデメリットがありました。しかしアステックペイントは色褪せのしにくい無機顔料の黒色遮熱顔料を独自に開発したため、遮熱塗料の最大のデメリットである色褪せ問題を克服している塗料となります。
この技術によりアステックペイントはラインナップの多くの塗料に遮熱性を持たせ、遮熱塗料の国内シェアNo.1を獲得しています。
※遮熱塗料とは塗膜の表面温度が一般的な塗料と比較して15度程度低下しますが、屋内の温度上昇を抑える効果が出るかどうかは建物の構造による影響も含まれるため、遮熱塗料を塗ったからといって確実に屋内の温度上昇を抑制する効果が出るとは限りません。

超低汚染リファイン艶消MS1000-IRのデメリット
デメリット① 価格が高い
超低汚染リファイン艶消1000MS-IRはシリコン樹脂塗料ではありますが、シリコン含有量を増やしてシロキサン結合量を増やし、高耐久性と低汚染性を実現している塗料ですが、シリコン含有量が多くなればなるほど価格も高価になってきます。
艶有り版である超低汚染リファイン1000Si-IRもシリコン樹脂塗料としてはかなり高額な塗料ですが、それよりも若干ですが更に高い価格設定となっています。
アステックペイントが超低汚染リファイン艶消1000MS-IRを開発したときにかなり意識をしているであろう水谷ペイントのナノコンポジットシリーズですが、価格で見るとナノコンポジットW<超低汚染リファイン艶消<ナノコンポジットFとなっており、期待耐用年数で見てもナノコンポジットW、15年超<超低汚染リファイン艶消、17年〜20年<ナノコンポジットF20年超と綺麗に並びます。ナノコンポジットシリーズを意識してナノコンポジットWとナノコンポジットFの中間をうまく狙ってきたのがわかりますが、アステックペイントの最近の値上げの影響で価格としてはかなりナノコンポジットF寄りとなってしまってきているため、この価格はデメリットであると言わざるを得ません。
デメリット② 塗料ベンチャーへの信頼性
過去のアステックペイントの塗料紹介でも述べていますが、アステックペイントは塗料メーカーとしては日本では歴史の短いメーカーであり、塗料ベンチャーなどと言われています。
多くの塗料メーカーは代理店を持ち、私たち塗装施工店は代理店より塗料を購入しますが、アステックペイントなどの塗料ベンチャーでは代理店を持たずに施工店と直接契約をして施工店が直接メーカーから購入します。
メリットとしては代理店を経由しませんので安価で購入できる(メーカーの利幅が大きい)また施工店の声やエンドユーザーの声を拾いやすく、トレンドに沿った商品開発ができるなどの点が挙げられます。
しかしデメリットとしては価格改定が直接全て施工店の購入価格に直結する点があります。例えばある塗料をメーカーが1000円値上げをする場合、塗料ベンチャーの場合は施工店が購入する際には必ず1000円の値上げ分が上乗せされて請求されます。
しかし代理店を経由している場合はメーカーが1000円の値上げをする場合でも、施工店に販売する価格を700円しか値上げをせずに300円は代理店の企業努力で吸収する場合があるのです。
ここではどちらの方が良いかという議論はするつもりはありません。塗料を選定する中でメーカーの信頼性を重視したいのであれば、日本には多くの実績を持った老舗の大手塗料メーカーがたくさんありますので、そちらの塗料をお選びいただいた方がいいかもしれません。
超低汚染リファイン艶消MS1000-IRはこんな方にオススメ
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高耐久な塗料を選びたい方
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完全なマット仕上げを希望の方
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汚れの付きにくい塗料をお探しの方

超低汚染リファイン艶消MS1000-IRはこんな方にはオススメできません
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少しでも安い塗料をお探しの方
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艶のある塗装をご希望の方
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メーカーの信頼性を重視する方

まとめ
今回はアステックペイントの超低汚染リファイン艶消MS1000-IRを徹底解説しました。最後に弊社のお客様で過去に超低汚染リファイン艶消1000MS-IRをお選びになられた方の事例をご紹介します。
このお客様は当初より艶消し塗料での塗装をご希望されていましたので、弊社では水谷ペイントナノコンポジットW、ナノコンポジットF、超低汚染リファイン艶消の3種のお見積もりをご提示させていただきました。どの塗料にするか大変に悩まれているようでしたが、このお客様のお宅は濃紺のアクセントが入っている戸建てで、また同じように濃紺のアクセントをご希望されていました。
ナノコンポジットWの徹底解説記事でも述べていますが、ナノコンポジットシリーズの弱点として濃色や極彩色が出しにくいというデメリットがあり、お客様の希望する濃紺がナノコンポジットWでは調色できないということがわかり、濃紺も標準ラインナップに含まれている超低汚染リファイン艶消をお選びになりました。
超低汚染で艶消し、塗料の特徴が似ているからこそよく比較をされる超低汚染リファイン艶消とナノコンポジットシリーズですが、ナノコンポジットシリーズでは出せない濃色も超低汚染リファイン艶消なら出せるというのが、超低汚染リファイン艶消の最も優位性のある部分なのかもしれません。
弊社、島田塗装工業所は2022年にアステックペイント優良施工店に認定されており、超低汚染リファイン艶消1000MS-IRを含むアステックペイント製品の取り扱いに精通した塗装施工店です。アステックペイントの塗料で塗装をご希望の方はお気軽にご相談いただければと思います。
今回紹介した塗料
アステックペイント 超低汚染リファイン艶消1000MS-IR